札幌高等裁判所 昭和26年(う)982号 判決
記録を精査して考えると、原判決引用の原審相被告人佐々木東市の検察官に対する昭和二十六年十月二十二日附供述調書、岡田昭一の検察官に対する供述調書又び被告人の検察官に対する供述調書については、原審第一回公判期日で、検察官から取調の請求があつたところ、被告人及び弁護人は右各供述調書中本件犯行が共謀によるとの供述部分については、これを証拠とすることに同意していないのであるが、右佐々木、岡田の両名は原審第二回公判期日で、共謀の点について右各供述調書の供述記載と相反する供述を為し、この点の任意性も争つているのである。ところで、右各供述調書の内容と、原審各公判期日における同被告人等の供述とに徴するときは、同被告人等は時日の経過に伴い漸次事実を否認する態度を採つていることが認められるので、右公判期日における供述よりも、前の供述を信用すべき特別の情況ありといわざるを得ないから、右各供述調書は刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号後段の規定によつて証拠と為し得るのである。次に被告人の供述調書は、被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるが、被告人は原審各公判期日でその任意性を争つているけれども、右供述調書の記載を仔細に検討すると、被告人が任意に為したものでない疑ありとは認めることが出来ないから、刑事訴訟法第三百二十二条第一項の規定によつて、これを証拠とすることが出来るのである。されば、右各供述調書を事実認定の資料と為したことについて、原判決に所論の違法はない。